第5回 講義日程

講義タイトル 震災と原発事故からの農業・農村復興
日程 10月18日(木)
講師 行友弥(農林中金総合研究所 顧問・特任研究員)

講師略歴

1960年北海道函館市生まれ。北海道大学経済学部卒、85年毎日新聞社入社。福島支局、東京本社経済部、政治部、地方部副部長、経済部副部長、編集委員(農林水産業担当)などを経て2012年7月から現職。農政ジャーナリストの会副会長、中山間地域フォーラム理事、日本大学経済学部非常勤講師。著書(共著)に「東日本大震災 農業復興はどこまで進んだか」(家の光協会2016年)、「聞く力、つなぐ力」(農山漁村文化協会2017年)など。

講義の概要

 東日本大震災と福島第一原発事故から7年半が経過した。政府は10年目にあたる2020年度で復興に区切りを付けようとしているが、今年8月末現在も約5万8千人が避難生活を強いられ、うち4万4千人は福島の被災者である。
 原発事故による避難指示区域はピーク時の3分の1に縮小したが、放射線量の高い帰還困難区域は解除の見通しが立っていない。昨春解除された地域の帰還者も被災前の居住者の数%から1割強に過ぎず、コミュニティーの前途は極めて険しい。地域間の復興格差が拡大している。
 宮城・岩手両県でも、仮設住宅を出た被災者の社会的孤立が深刻化し、孤独死や自殺が増えている。こうした被災地の状況には人口減少・超高齢時代を迎えた日本の課題が凝縮されており、被災地固有の特殊事情と片づけることはできない。国民全体が「我がこと」として共有する必要がある。
 にもかかわらず、政府の復興施策はハード面のインフラ整備や先端技術の導入による産業振興に偏りがちで、当事者を置き去りにしたまま復興の体裁を整えようとする姿勢が目立つ。関東大震災の復興において福田徳三・東京商大(現・一橋大)教授が唱えた「人間の復興」が今こそ求められている。

講義の様子